松竹梅シリーズ 第二回『松』松ぼっくりでシンプル実用的な軟膏を作る 徳川幕府と東海道の松並木

ハーブ

松ぼっくりから抽出した松脂は、抗菌や保湿効果に優れています。今回はアウトドアの延長で自然を活用する感覚で楽しめ男性でも簡単に試せる、実用的な軟膏作りをご紹介します。

締めには、歴史。江戸幕府の施策である街道の整備に松が関係しています。
最後までお付き合いをよろしくお願いします。

松ぼっくりのシンプル軟膏

必要な材料

松ぼっくり:3個~10個(自然に落ちているものを使用)松脂が多いと琥珀色に近くなりますが、オイルで希釈することで足りない分を補えます。

オリーブオイル、ホホバオイルなど 50ml 
肌に使う場合はエキストラバージンオリーブオイルをおすすめしますが、一般的なオリーブオイルでも十分です。
また、オリーブオイルの代わりに太白胡麻油を使うと、より軽い使用感になります。香ばしい香りが強い一般的なごま油(茶色のもの)ではなく、無色透明な太白胡麻油を選ぶ必要があります

太白胡麻油を使うメリット太白胡麻油は自然由来で刺激が少なく、敏感肌の方にも安心して使えます。
そして、軟膏だけでなく、保湿オイルやマッサージオイルとしても活用可能。松脂との相性が良く、均一に混ざりやすいというメリットもあります。

小鍋または耐熱ボウル

ストレーナー(茶こし)またはガーゼ

保存容器:保存容器は耐熱ガラスや蓋付きの焼き物など、熱に強くて密閉できるものを使用してください。冷ました後であれば、プラスチック容器も代用できます。

耐熱スプーン

作り方

松脂の抽出

1,松ぼっくりを小鍋に入れ、植物油を注ぎます。

2,弱火でゆっくりと温め、松ぼっくりの中の松脂をオイルに移します(約20分)。

3,松脂が十分に溶け出したら火を止めます。

松脂が溶け出すときの目安
色の変化
松脂は、透明感のある琥珀色や淡い黄色、濃い茶色になることがあります。
オイルの色が徐々に変わり、少し濃い色になるのが特徴です。
テクスチャの変化
松脂が溶けると、オイルが少し粘性を帯びた感触になります。
松ぼっくりを動かすと、オイル表面にわずかに光沢が見える場合があります。
香りの変化
加熱で松脂の特有のウッディで甘い香りが漂います。
ポイント
松脂が目に見えない場合
松脂が少量の場合、オイル全体の色がわずかに変わる程度で、目に見えて「溶け出した」と感じられないこともあります。この場合でも、香りやテクスチャの変化を目安に火を止めてOKです。
松脂の量が多い場合
しっかり溶け出すと、オイルの色がはっきりと変化します。透明な液体から琥珀色になる場合もあります。

注意点
松ぼっくりを加熱しすぎると、焦げたり、オイルの風味が変わることがあります。弱火でじっくり加熱するのがポイントです。不安な場合は、加熱を10分ごとに確認しながら進めると安心です。

色や香りの変化を見ながら、自然のプロセスを楽しんでみてください。

濾過(ろか)

1,ストレーナー(茶こし)またはガーゼを使って、松ぼっくりと不純物を取り除きます。
2,オイルを保存容器に移します。(耐熱でない場合は冷ましてから)

軟膏の完成

室温で冷まし、保存容器のふたを閉めて完成です。
使用期限は約1~2か月。冷暗所で保管してください。

使い方

  • 乾燥肌やひび割れのケア:適量を手やかかとに塗る。
  • 軽い擦り傷や虫刺され:抗菌作用で肌を保護。
  • 保湿バームとして:冬場の肌荒れ防止に役立てる。

注意点

  1. 採取する松ぼっくりは、清潔で農薬の心配がない場所のものを選びましょう。
  2. 初めて使う場合は、腕の内側でパッチテストを行い、アレルギー反応がないか確認してください。

おわりに ロシアの松 徳川幕府と関係した松並木 

「松」をテーマにした2回目いかがでしたか。松脂の採取が難しい冬の時期。松ぼっくりを使った軟膏作りをご提案させて頂きました。

今日のような作業が面倒だよとおっしゃる方は、乾燥した松葉をお風呂に浮かべてリラックスするのもよいですね。

ちなみに、松ぼっくりは、風邪予防のためにシベリア地域では砂糖とレモン汁で煮込んでジャムとして食べられています。市販もされているので機会があったら食べられてみてはいかがかと思います。

ロシア全域でよくみられるのはヨーロッパアカマツです。松林の空気はきれいで松脂のさわやかな香りが心地よく、太陽が照っているときは香りが強まってさらに健康によいとされてきました。ただ松林には陰鬱な印象で重苦しいニュアンスをもっている記載も少なくないように思います。所違えば捉え方も異なりますね。

日本では、もちろん事情が異なります。松竹梅の最上級。最高の植物だと思います。
東海道の松並木は徳川家康が指示したと言われています。植栽は次の世代、秀忠や家光の時代に整備が本格化しました。東海道を含む五街道の整備は江戸幕府の重要な政策となり、その一環として街道沿いに松を植えられたのです。

松並木は、単調な道中の旅人の目印、日陰、風雪よけにもなりました。そして、何と言っても、松は長寿と繁栄を象徴する植物。幕府の権威を示す美観と権威の象徴としても機能していたようです。

ただ現存する多くの松並木は、再植樹されたものや管理を経て残っているものです。それでも一部の地域では江戸時代の雰囲気を感じることができる場所もあります。例えば、静岡県の「東海道松並木(旧東海道藤枝宿・岡部宿間)」は有名です。一度訪れてみてはいかがでしょうか。

徳川家康の政策が現代の景観にも影響を与えていることは、歴史的にも非常に興味深いですね。

次回はいよいよ「竹」です。私は、特に日本人の精神性に注目しています。
最後までお読みくださりありがとうございました。

植物療法士 横山みのり

error: Content is protected !!