今回、ある女性から夢のシェアをいただきました。ありがとうございます。
夢を通して「今のこころの在りか」に触れるシリーズ。
ここでは、感じたままの言葉ではなく、夢にあらわれた象徴の意味を中心に読み解いていきます。
🛤️ 寄せられた夢
大勢の集まりがあって、解散になったあと、知った顔がいくつか見えた。
靴を探していたのか、忘れ物を取りに行っていたのか、
ぐずぐずしている間にみんな帰ってしまい、
知らないおじさんしか残っていなかった。
誰も知っている人がいない。
どうやって帰ればいいのか分からず、途方に暮れるという夢。どこに向かっているか分からないが、
何台もバスを乗り継ぎ、一生懸命たどり着こうとしている。
しかし、目的地にはたどり着けず、やはり途方に暮れる夢。
🌙 夢の構造とテーマの核心
この夢は、ひとことで言うなら:
「つながりたいのに、取り残されてしまう」
という体験の繰り返しです。
その背景には、失うことへの怖れ、
そして、つながりが途切れることへの深い痛みがあります。
🔍 夢の分析(象徴ごとに)
1. 大勢の集まり → 社会的なつながり・共同体
多くの人が集まる場所にいるのは、「自分もその一員である」という安心感や所属感をあらわします。
2. 知った顔 → 安心できる人間関係
「〇〇ちゃん、久しぶり」「あ、〇〇さんもいてる」
という場面には、もう一度つながり直したい気持ちがにじんでいます。
また、過去の自分との再接続という側面もあります。
3. うろうろ・ぐずぐずしている間にみんな帰ってしまう
この部分は非常に象徴的です。
自分のペースのままでは、他人と歩幅が合わず、取り残されてしまうのではないかという怖れが浮かび上がります。
4. 残されたのは知らないオジサンたち
ここでは、「自分がいたい場所ではない場所に、自分だけが取り残された」という不安感が描かれています。
帰属感の喪失、不本意な孤独を強く感じさせるシーンです。
5. バスを何台も乗り継ぐ → 一生懸命生きようとしている
バスは、「集団の流れ」や「人生の方向性」を象徴します。
それを何台も乗り継ぐというのは、目的地に向かって必死に生きようとしている姿のあらわれ。
それでもなお、たどり着けないジレンマがにじんでいます。
6. トラウマになるできごとが実際にあった
この夢は、無意識が「まだ癒えていない部分」を丁寧に再演している可能性が高いです。
繰り返される夢は、「その傷をわかってあげて」「一緒にいてほしい」と心が静かに呼びかけているようにも思えます。
🌿 心理的背景とメッセージ
この夢には、こんな深層の気持ちがにじんでいます:
- 本当はつながっていたい
- 自分も輪の中にいたい
- でも、いつもどこかで遅れてしまう
- 気づけば、ひとりぼっちになっている
そんな静かで、それでも強い感情が、何度も繰り返される夢の中で表現されています。
そして夢主さんは、それをただ「寂しかった」と感じるのではなく、
「ああ、私だなあと思った」と、しっかり自分として受け止めている。
その姿勢は、とても成熟していて、優しいまなざしを感じさせます。
📌 象徴の補足:忘れ物と靴
ところで、忘れ物を探す夢は、「喪失感」や「自分の一部を取り戻したい気持ち」、「準備が整っていない不安」などを映し出しています。
そしてそれが「靴」だったかもしれないというあいまいさは、
未来に向かって歩き出すための力(=靴)と、過去に置いてきた何か(=忘れ物)の間で、心が揺れていることの象徴とも読めます。
この夢は、そんな「まだ言葉にならない気持ち」を、丁寧に教えてくれているように感じます。
あなたにも、似たような夢があるでしょうか?
それはきっと、心の奥で何かを癒したい、誰かに伝えたいというサインなのかもしれません。
横山みのり