第2弾:明治から現代へ―日本の農地危機の歴史を政策のタイムラインで検証する

ちょっと考えてみる

今回の第2弾では、日本の農地危機に至るまではどうなっているのか。その歴史的背景をタイムライン中心にまとめました。明治時代から現代に至るまでの農地危機を確認しましょう。

明治から現代へ:農地危機の歴史的背景

日本の農地が今、危機に瀕しているのは、歴史の積み重ねが原因です。徳川治世(1603-1867年)は幕府や大名が農地を厳格に管理し、自給自足と武士階級の支配が中心にありました。外国人の介入はゼロの鎖国下で、農地は日本の基盤として守られていました。しかし、明治時代(1868年)が起点とて、現在の問題ー外国人取得(2024年175.3ha)や耕作放棄地(年40万ha)までつながっていきます。経済発展や国際競争への対応をし続けたことが現在の危機を招いています。

政策のタイムライン:なぜそうなったのか

以下に、明治から現代までの変遷を時系列でまとめます。
※ 実行された政権時に前政権の決定が実行された場合もあります。

年月政権出来事・政策影響と理由
1873年明治政府地租改正(土地私有化)市場化開始。西洋近代化と税収確保のため、農民苦しめ土地売却促す。
1925年清浦内閣外国人土地法制定戦後無効化。国際土地競争への柔軟性確保が目的、規制緩和遠因。
1946-1950年GHQ占領下農地解放土地民主化。戦後封建打破と共産主義予防のため、流動性増。
1970-2018年各内閣減反政策(開始~廃止)耕作放棄地40万ha増。米過剰調整と価格安定が目的、外国人取得余地拡大。
1995年村山内閣GATS発効・WTO加盟外国人土地取得自由化。バブル崩壊後の経済再生とグローバル化対応。
2018年安倍内閣種子法廃止公共種子企業移行。農業競争力強化が目的、自家採種制限懸念。
2020年安倍内閣種苗法改正自家増殖許諾制。品種保護と企業開発促進が目的、新品種増。
2023年9月岸田内閣農地法改正(国籍報告義務化)実態把握強化。経済安保と監視強化が目的、2024年175.3ha公表。
2025年現在石破内閣から次の内閣へ規制強化法案・2025年改正日本農業新聞記事化。食料安保対応が目的、審査厳格化。
  • 1873年地租改正: 明治政府が西洋モデルを取り入れ、土地を市場商品化。税収増を目指したが、農民の貧困と売却を誘発。
  • 1925年外国人土地法: 国際的な土地競争に対応し、報復権を設けたが、実効性薄く、戦後無効化。
  • 1946-1950年農地解放: GHQが封建打破と政治安定を優先。土地分散は民主化を進めつつ、後の自由化基盤に。
  • 1970-2018年減反政策: 米余剰を調整し、価格安定を図ったが、廃止で耕作放棄地が増え、外国人取得の隙になった。
  • 1995年GATS加盟: 「GATS」は、サービス貿易に関する一般協定(General Agreement on Trade in Services)のこと。サービス貿易の自由化を促進するための多国間国際協定で、世界貿易機関(WTO)の一部。加盟はバブル崩壊後の経済再生と国際競争力強化が目的。留保なしで自由化し、現代の危機遠因。
  • 2018-2020年種子法・種苗法改正: 農業競争力と品種保護を掲げたが、企業依存や農家負担増を招く。
  • 2023-2025年法改正: 経済安保と食料自給を意識したが、GATS制約で抜本的解決に至らず。

第3弾予告 

この危機は、国の根幹に関わっているため様々な問題と連動しています。13道県が条例で国の政策を補完する動きについては、続きの第3弾でみていきましょう。

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