夢と象徴Vol.26 真剣を振る人たちの夢

夢と象徴
©東西交流フォーラム

久々に、妙に印象に残る夢を見た。

宿泊施設のような、大きな建物の一角に私はいた。
ホテルではない。
一時的に、多くの人が滞在しているような場所だった。

朝食の時間に間に合わず、私は一人遅れて食事をしていた。

食器を片付けようと移動しようとすると、狭い空間で、多くの人たちが武道の練習をしている。

しかも、木刀ではない。
真剣だった。

人がすれ違うほどしかない場所で、皆が刀を振っている。

私は当たらないように、その間を縫って出口へ向かっていた。

すると、そのうちの一人の女性の刀が、私の腕に当たった。

その女性は、そこまで武道に熟練しているようには見えなかった。

「あっ」

と思った瞬間、腕が切れていた。

本当に切れる刀だったのだ。

ただ、そのときは「大したことはない」と思った。

しかし、あとから傷口を見ると、赤黒く変色している。

慌てて消毒しようとすると、そこから虫が出てきた。

ハサミのようなものを持つ、不気味な虫だった。

夢の中で私は、
「ここは湿度の高い土地なんだ」
と思った。

東南アジアのような、フィリピンやマレーシアのような空気だった。

傷を放っておくと、すぐに虫がついてしまう。

「これは大変だ」

そう思ったところで、夢は終わった。


最近、私は妙に疲弊している。

職業柄、人の不調の話を聞くことが多い。

どこが痛い、ここが悪い、調子が出ない。

もちろん、本当に助けを求めている人もいる。

だが最近、少し違和感を覚えることが増えた。

実際に何かを変える覚悟があるというより、

「反応を見ている」

ように感じることがあるのだ。

これは、療法の話だけではない。

人は不安になると、
誰かにそれを渡したくなる。

「このお茶で治るらしい」
「この療法がすごい」
「この先生がいい」

そう言いながら、
実際には不安そのものを誰かに受け止めてもらいたい。

そんな空気を感じることがある。

もちろん、様々な療法があるし、
検査をするのも自由だと思う。

自分で試してみればいい。

私は、自分のやっている世界だけがすべてだとは思っていない。

ただ、最近感じるのは、

“扱いきれていない真剣”

を持つ人が増えたことだ。

知識。
情報。
AI。
健康論。
心理。
スピリチュアル。

本来は慎重に扱うべきものを、
まだ使いこなせないまま、
人は簡単に振り回せる時代になった。

しかも、狭い空間で。

SNSもそうかもしれない。

少し触れただけでも、
小さな傷になる。

そして、その小さな傷を、
人は「大したことない」と放置する。

だが、湿度の高い時代では、
小さな傷ほど悪化する。

夢の虫は、
そんな「小さな侵食」の象徴だったのかもしれない。

大きな敵ではない。

小さな違和感。
小さな疲労。
小さな不安。
小さな消耗。

それらが、
静かに人を蝕んでいく。

最近の世界を見ていると、

「こんな人まで真剣を持つ時代になったのか」

と感じることがある。

今回の夢は、
そんな時代の空気を、
象徴として見せられた気がしている。

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