🌾 第1回「消費税という名の静かな削り方」

ちょっと考えてみる
©eastwest-forum

昔は「税金=立派な義務」と教えられた。
けれど、最近ではそれが“生活の重り”になっていると感じる。

とくに、国民年金生活者や低所得層にとっての消費税は、
生きているだけで取られる「生存税」に近い。


💸 “平等”に見えて、実は不平等な税

消費税は「公平な税制」とよく言われる。
みんな同じ10%、平等に支払う。

でも実際は、収入が少ない人ほど苦しくなる逆進的税制だ。

年収100万円の人が10万円の税を払うのと、
年収1,000万円の人が同じ10万円を払うのとでは、
生活への打撃がまるで違う。

つまり“同じ税率”でも、“重さ”が違う。


🍚 「主食に税をかける国」は少数派

日本では、食料品に軽減税率8%が適用されている。
けれど「軽減」という言葉が、

いつのまにか「ありがたい恩恵」にすり替えられているように思う。

“生きるための食”にまで税をかける国は、
実はそれほど多くない。

🍞 各国の「食料品への消費税」比較

国名標準税率食料品への税率備考
🇯🇵 日本10%(軽減8%)主食にも課税(例:米・パン・野菜も8%)世界でも珍しく主食課税を維持
🇬🇧 イギリス20%0%(免税)パン・野菜・果物・牛乳など非課税
🇫🇷 フランス20%5.5%基本的な食品は低税率
🇩🇪 ドイツ19%7%食料品・書籍など生活必需品は軽減
🇸🇪 スウェーデン25%12%高福祉国家でも食料は優遇対象
🇨🇦 カナダ5%0%または5%食料品は免税または軽減
🇦🇺 オーストラリア10%0%(免税)基本食料品は免税対象
🇸🇬 シンガポール9%9%軽減制度なし、食料品も標準税率9%

この表からもわかるように、
「米・野菜・魚」に課税している日本は、かなり少数派

世界を見渡すと、主食や生鮮品に課税する国は少ない。
イギリスではパンも野菜も非課税、ドイツやフランスでも食料品は軽減税率。

🪙 サナエノミクスという言葉を聞いて

高市早苗氏が掲げる「サナエノミクス」は、経済成長や安全保障を強調するが、2025年になっても食料品の消費税ゼロは遠い。

「消費税減税」も口にはしているようだけれど、
はっきりした方向性は見えない。
燃料税や車の税金の話はしても、
食卓に直結する税の重さについて語る人は少ない。

政治は華やかでも、国民の生活は静かに沈んでいく。

📰 最近の報道から見える高市早苗氏の動き・表明(2025/10/7調べ)

  • 高市氏は総裁選で「消費税についてはすぐに減税を行うとは明言していないものの、『選択肢として放棄するものではない』」という姿勢を示しているという報道。 税理士.ch
  • 総裁選過程および総裁選後には、自動車税停止や燃料関連税の軽減を断言する場面も出ていると報じられている。 Reuters Japan
  • 一方、参院選前に主張していた「食料品の消費税0%」という案については、総裁選期には「党内合意にならなかった」「即効性がない」という理由で主張を取り下げた、との報道もあります。 日本共産党
  • 総裁選後の記者会見では、「国民に寄り添った政策を打ち出す」「物価高対策」などを語っており、具体的には減税よりも制度設計・政策実行力を重視する言い回しが多く見られます。 自民党
  • メディア分析では、会見での質問テーマに「消費税減税」が含まれるものの、質疑応答で明確に答えない、または慎重な表現に留まる傾向があるとの指摘があります。 toyokeizai.net+1

誰がなっても同じ。
それが、いまの日本の税制の現実かもしれない。

東西交流フォーラム

このシリーズは第2回に続きます。

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