令和7年7月6日から13日、天皇皇后両陛下はモンゴル国を国賓として公式訪問された。歴代天皇初のモンゴル訪問は、戦後80年の節目に日本人抑留者の慰霊と両国友好の深化を象徴する歴史的な旅となった。以下、その荘厳かつ心温まる訪問のダイジェストを記す。

温かな歓迎と伝統の菓子
7月6日、両陛下はウランバートルのチンギス・ハーン国際空港に到着。モンゴルの伝統的な乳製菓子「アーロール」が銀杯に盛られ、奉迎の女性から差し出された。アーロールは、遊牧民の命を支える乳製品として神聖視され、貴賓への最高の敬意を表す歓迎の象徴である。両陛下はにこやかにこれを口にされた。この瞬間は、モンゴルの心からの歓待を体現する場面として、人々の記憶に刻まれた。

雨に祝福された歓迎式典
7月8日、ウランバートルのスフバートル広場で執り行われた歓迎式典は、モンゴル国民の温かな出迎えに彩られた。モンゴルには「徳の高い人が訪れると雨が降る」との言い伝えがあり、年間降雨量が約250ミリメートルと極めて少ないこの地で、両陛下が会場に到着された際、雨が降り始めた。元横綱・日馬富士は「国民は感激し、喜んでいます」と語り、雨は両陛下への祝福とされた。式典中は雨が上がり、晴れ間が広がり、荘厳な雰囲気が一層際立った。
天皇陛下は落ち着いた色調のスーツ、皇后陛下は水色を基調に純白と銀を織り交ぜたスーツをお召しに。この色調は、モンゴルの文化において深い象徴性を持つ。青は「永遠の青い空」を表し、国家の進歩と繁栄を象徴する神聖な色である。白は「母」や「牛乳」を意味し、遊牧民の生命の源として最も尊ばれる。銀は高貴さと純粋さを示し、歓迎の銀杯と共鳴する。皇后陛下の装いは、教養や知性、そして豊富なご経験に裏付けられた選択として、モンゴルの伝統と調和しながら両国の友好を体現しておられるようで、モンゴル国民はもとより世界から称賛を集めた。

雨に寄り添う慰霊の姿
同日、両陛下はウランバートル郊外の日本人抑留者慰霊碑を訪問された。終戦後、旧ソビエトにより約1,700人の日本人がこの地で命を落とした。慰霊碑では雨が降り続き、両陛下は傘を差し、慈愛に満ちた表情で黙とうを捧げ、花を手向けられた。この雨は、厳粛な慰霊の場に深い情感を添え、モンゴルの言い伝えとも響き合った。天皇陛下は事前の会見で「故郷から遠く離れた地で亡くなられた方々を慰霊したい」と述べられ、この訪問は戦後80年の節目に深い意義を持った。
ビオラ演奏とモンゴル語の挨拶
7月8日夜、フレルスフ大統領夫妻主催の晩餐会がシャングリ・ラホテルで開催された。天皇陛下はビオラを手に、モンゴル国立馬頭琴交響楽団と共演。「浜辺の歌」とモンゴルの伝統曲「モンゴル・アヤルゴー」を丁寧に演奏され、会場は感動に包まれた。長期間の練習を重ねられたこの演奏は、陛下の音楽への情熱を伝えた。また、陛下は流暢なモンゴル語で挨拶され、出席者から驚嘆の声が上がった。皇后陛下は和服姿で出席され、優雅な佇まいがモンゴルの人々を魅了した。

圧倒的な歓迎ムード
訪問期間中、モンゴル全土は両陛下への歓迎ムードに沸いた。空港到着から晩餐会まで、国民の笑顔と敬意が溢れた。元横綱の朝青龍、日馬富士、白鵬らも両陛下と交流し、モンゴルの誇りと日本への親しみを語った。現地メディアは「両陛下への歓迎は、モンゴルの歴史に新たな絆を刻んだ」と報じた。
結び
天皇皇后両陛下のモンゴル訪問は、友好親善と過去の犠牲者への追悼を融合させた意義深い旅であった。皇后陛下のモンゴルの象徴色を取り入れた装い、陛下のビオラ演奏とモンゴル語の挨拶は、両国間の絆を深めた。歓迎式典での祝福の雨、慰霊碑での厳粛な雨は、モンゴルの言い伝えに祝福され、両国の未来を照らす希望の光となった。


