富士山の入山料が決まりました 霊峰を守るための一歩

自然

富士山は、「霊峰富士」として古くから日本人にとって特別な存在であり、神聖な場所です。信仰の対象として登る人もいれば、純粋に登山や観光を楽しむ人もいます。しかし、どのような目的であれ、この山に足を踏み入れる以上、それにふさわしい心構えが求められます。

さて、今年の夏から、静岡県側の富士山登山には入山料が必要になります。
一人 4,000円、すべての登山者が対象です。

この決定に関して、以前のブログ記事(こちら)で、「入山料をどうするべきか」「観光施設での国内外の料金差について」など、詳しく考察しました。
今回の入山料制度の正式決定を受け、その内容がどのように進展したのかを振り返ってみたいと思います。

山梨県も同じ流れに:全国的な動きへ

まず、今回の静岡県の決定は、単独のものではなく、山梨県側の動きと足並みを揃えたものです。

山梨県は、2024年夏から五合目までの通行料として2,000円を徴収(義務化)
2025年3月には、静岡県と同様に4,000円へ引き上げる改正条例が可決

つまり、今回の静岡県の入山料は、全国的な流れの一環として決まったということになります。

観光施設で国内外の料金差は当然のこと

以前のブログでも触れましたが、アルピニストの野口健さんは、かねてより「観光施設で国内外の料金差をつけることは世界的に見ても当たり前のこと」と提言しています。

例えば、世界の多くの観光地では、
・自国民と外国人で料金が異なる
・現地の人には特別料金が適用される
といった仕組みが導入されています。

しかし、今回の富士山の入山料は、日本人・外国人を区別せず、一律4,000円となりました。
この決定が適切だったのか、今後議論の余地がありそうです。

特に、円安の影響で訪日外国人観光客が増えている今、外国人からの観光税の徴収は、日本の観光資源を守る上で必要な視点だったのではないかと思います。

富士講への影響も懸念

また、以前のブログでも触れたように、富士山には「富士講」と呼ばれる信仰登山の文化があります。
彼らにとって富士山は、単なる観光地ではなく、祈りを捧げる神聖な場。

しかし、今回の新しいルールによって、
宿泊しない登山は禁止(午後2時~翌朝3時の入山不可)
登るためには事前の申し込みと入山料の支払いが必須
といった制限ができたことで、富士講の伝統的な巡礼に影響が出る可能性があります。

信仰としての登山と観光登山をどう区別し、どのように配慮していくのか、これもまた大きな課題となるでしょう。

今回の変更で何が進展したのか?

入山料が義務化された(以前は任意の1,000円)
山梨県・静岡県ともに4,000円で統一へ
登山ルールが厳格化(弾丸登山禁止・宿泊推奨)
外国人・日本人の区別なく同額徴収

これらは、以前の議論から進展した大きなポイントです。

高い?それとも当然?

「4,000円は高い」と感じる方もいるかもしれませんが、これまでの富士山がどれだけ恵まれた環境だったかを考えれば、むしろこの変化は遅すぎたくらいです。

しかし、今回の決定には「富士山の未来を考えた新しい仕組みづくり」というポジティブな側面がある一方で、
・信仰登山への影響
・外国人観光客への適切な負担のあり方
など、まだ解決すべき課題も残っています。

この入山料の導入が、単なる「負担」ではなく、富士山を守るための「前進」となることを願っています。
登山を計画されている方は、ぜひ新しいルールを確認し、しっかり準備をして、安全で敬意をもった登山を心がけましょう。

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